10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない
社長の背中を見ながら、距離が近いせいか呼吸まで聞こえてきそうで、どうしても意識してしまう。
それより…なんだろう?
頭の中で繰り返し考えながら、デスクの前で立ち止まった社長を見上げる。
「お前、いつも残業してるだろ?」
「え?」
「先月もひとりで残ってたよな」
「なんで、知って…」
先月って、だってまだ社長はいなかったはず…。
「社員が帰ったあとに社内の環境を見て回ってたんだよ。今日のように、夜中なのに明かりがついてるなと思ったら、白石だった」
これは…もしかして、説教されるパターン?
残業してるということは、日中の業務の効率が悪いとか、そう言われるんだろうか。
ぎゅっと拳を握りしめて、どう反応すればいいのか考える。
「ちゃんと、寝てる?」
その質問に、一瞬言葉が詰まる。
「………え?」
「この量。白石だけに、負担が行き過ぎじゃないか?」