10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない
「よろしくね、美織ちゃん」
そう返すと、彼女は一瞬だけ息を飲んだみたいにして、それから少し頬を赤らめて笑った。
「白石さんの下で働けるなんて、光栄です」
その言葉に、思わず苦笑がこぼれる。
「またまた、そんなこと言って〜」
軽く流したつもりだったのに、美織ちゃんは「ほんとですよっ!」とむっとしたように頬を膨らませる。その仕草があまりにも子どもっぽくて、けれどどこか愛らしくて、思わず目を細めてしまう。
「白石さん、新人の私たちの間でも有名なんですからね〜」
そう言ってくすっと笑う美織ちゃんに、思わず肩の力が抜ける。
「え〜、どんな風に?若い子に何思われてるのか、ちょっと怖いなぁ」
冗談めかして返しながらも、内心ではほんの少しだけ本気で気になってしまう。
だって、美織ちゃんたち新入社員はみんな大卒で、私とは7つも年が離れている。たった7年、されど7年。
その間に積み重なったものの差を、こういう瞬間にやけに意識してしまうのだ。