10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない
美織ちゃんみたいに、きらきらしていて、まっすぐで、見ているだけで眩しくなるような存在と並ぶと、どうしたって自分の地味さが浮き彫りになる気がして、心のどこかが少しだけ縮こまる。
「白石さん、美人じゃないですか。それに、教え方も優しくて丁寧だし。誰が経理部に配属されるか、バチバチだったんですよ!」
間髪入れずに返ってきた言葉に、思わず吹き出しそうになる。
「ははは」
お世辞がうまいなあ、としか思えなくて、軽く笑って流すと、美織ちゃんはすぐに不満そうな顔をした。
「あ、本気にしてないですね?」
だって、そんな言葉、誰が本気にするのよ、美織ちゃん?
「おしゃべりはおいといて、仕事!って言いたいところだけど…」
言いかけて、ふと周りに視線を巡らせる。
やっぱり、朝から感じていたこのざわつきは気のせいじゃない。新年度で慌ただしいのとは明らかに違う、どこか落ち着かない空気がオフィス全体を包み込んでいる。
「ねえ、なんか聞いた?」
近くのデスクから、ひそひそとした声が耳に届く。
「いや、詳しくは知らないけど、上の方がバタバタしてるらしいよ」
上の方がバタバタ?