10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない



この距離、この温もり……荷物や仕事や遅刻のこと、すべてを忘れてしまいそうになる。あまりの近さに、息が詰まる。


あ、の……と、思わず言葉を紡ごうとする前に、社長は「わるい」と言って私から手を離した。


思わず俯き、視線を落とすと、あれ……私が着ている服は……。


「これ、もしかして……社長のですか?」


恐る恐る尋ねると、社長は首に手を回して視線を逸らし、気まずそうに顔をしかめる。

なんでそんな顔……。


「…悪い。不可抗力だ」


その一言で、頭の中が真っ白になる。

ハッと気がつくと、社長が着替えさせてくれたのだと理解して、顔がカッと熱くなる。

思わず、その場でしゃがみこんでしまった。


み……見られた!見られた!どうしよう……生きていけない……!


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