10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない
「…ひっ、酷いですよぉ…」
泣きそうになりながら、小さくつぶやくと、社長も私の前にしゃがんできた。
「しょうがないだろ?そもそも、お前が悪い」
「なっ…」
慌てて言い返そうとするも、「ちゃんと寝てんのか聞いたよな?」と、膝に頬杖をついて呆れたように問いかける社長の声には、逆らえない。
「…確かに、私が悪いですよ。社長の気遣いをなかったことにしてるし…」
わかってる。私が悪いことくらい、誰よりもわかってる。
でも、だって……。
「白石。お前は頑張りすぎだ」
そう言われた瞬間、社長の手がそっと伸びてきて、私の頭をふわっと優しくなでる。
まるで、痛みや不安をなかったことにするように触れられるその感触に、なぜか泣きそうになってしまった。
「頼られることは悪いことじゃない。結果を出すお前を俺は評価してる」
「…っ、う…」
涙が頬を伝って、熱く落ちる。
私は、自分がなんで泣いているのかもわからない。
ただ、頭を撫でられるこの瞬間が、胸に温かく響く。