10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない
とりあえず、お風呂に入りたい…。でも……下着、持ってないし。どうしよう。借りることは不可能だし、かといってこのまま寝るのも無理だし。
頭の中で同じ考えがぐるぐる回る。
私はそろっと足音を忍ばせながら洗面所へ向かった。ドアを開けた瞬間、ふわっと柔軟剤の優しい香りが鼻をかすめる。
そのまま視線を上げた私は、思わず固まった。
洗濯機の上に、きちんと畳まれた女性用のパジャマと、その上に置かれた下着。
「……なっ、ななな」
なんで、こんなものがここにあるの!?
心臓が一気に跳ね上がって、ドクドクとうるさく鳴り出す。
恐る恐る一番上に置かれていたメモ用紙を手に取ると、そこには綺麗すぎる達筆な文字でこう書かれていた。
「黒崎社長に頼まれ用意しました。社長秘書 神宮寺」
……は?一瞬、意味が理解できなかった。
黒崎社長の秘書って、確か……男性、だったよね?
頭の中に浮かぶのは、ついさっき運転してくれていたあの姿。
あの人が、これを用意した?いやいやいや、無理無理無理。