10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない



私の動揺を見透かしたみたいに、黒崎社長はクスッと小さく笑う。そのまま、私が握りしめていた枕をひょいっと取り上げる。


「ちょっ……!」


止める間もなく、顔が完全にさらされる。

ああもう最悪……!絶対ひどい顔してる……。


「今とメイクしてんのと何が違うんだよ」

「社長……それはどうかと思いますが」


半分呆れながらそう返すと、心の中でため息がこぼれる。

うちの会社の女性社員が聞いたら、絶対泣きますよ、それ。外見に気を遣ってる人たちに対して、あまりにも雑すぎる発言だ。

でも――。ふと、視線を逸らしながら思う。確かに、この人の言う通りなのかもしれない。これから毎日ここで顔を合わせるたびに、きっちりメイクして、完璧な状態でいなきゃいけないなんて……正直、無理だ。

そんな生活、絶対に続かない。ここはもう、ある程度諦めるしかないのかもしれない。

そうやって自分に言い聞かせていると、不意に。


「俺は、どっちも好き」


ぽつりと、落ちてきた言葉。


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