10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない
「……なにが――」
「メイクしてる時も、今もどっちも可愛い」
「……!?」
………今、なんて言ったの?かわいい……?誰が?私が?
頭の中で何度もその言葉がリピートされる。でも、その意味を噛みしめる前に、黒崎社長は何事もなかったかのように枕を元に戻した。
「飯作ったから、食べれるならリビングおいで」
それだけ言って、くるりと背を向ける。そのまま、呆然とする私を置いて部屋を出ていってしまった。
「……!?」
な、なんて言った……?今の、聞き間違いじゃないよね……?か、かわいいって、言われた気がするんだけど……。気のせい?いや、でも……。
じわじわと現実味を帯びてくるその言葉に、頬が一気に熱くなるのがわかる。思わず手を当てると、はっきりとした熱を感じた。
「……無理……」
小さく呟いて、そのまま勢いよく枕に顔を埋める。
さっきと同じ、ほんのりとしたいい匂いに包まれながら、私はしばらく動けなかった。