10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない



……なんで、こんなに苦しいの。怒ってるはずなのに、悔しいはずなのに、それだけじゃない感情が混ざっている。

ちゃんと私のことを見てくれているって、そう思ってたのに。なのに、さっきの言い方は、まるで全部どうでもいいみたいで。ないがしろにされたみたいで……悲しかった。

じわじわと、その感情が胸の中で広がっていく。


「……最悪」


ぽつりと呟いて、ぎゅっとシーツを握る。大人げないって、自分でも分かってる。

社長相手にあんな言い方をするなんて、社会人としてありえない。感情的になって、声まで荒げてしまった。

さっきの自分の言動を思い返すたびに、胸の奥がじわじわと痛くなる。

あんな言い方、するつもりじゃなかったのに。ちゃんと分かってる。悪いのは私だって。でも、どうしても抑えられなかった。


そんなふうにぐるぐると考えていると、不意に扉が開く音がした。社長だろう。でも、今の私には顔を合わせる勇気なんてない。

怒鳴ってしまったことも恥ずかしいし、それ以上に――あんなふうに突き放されたのが悲しくて、それなのに、もっと優しくしてほしいなんて思ってしまっている自分が、どうしようもなく嫌だった。


「白石」


低くて落ち着いた声が、すぐ後ろから聞こえる。

ギシ、とベッドが軽く沈む感覚。


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