10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない
私の人差し指から薬指にかけて、社長の長い指がゆっくりとなぞるように触れてきて、そのまま流れるように指を絡められてしまった。
「どう?握りしめられた感想は」
わざとらしく、繋がれた手を私の目の前まで持ち上げながら、社長はからかうようにそう言う。
その仕草も声も、全部がずるい。完全に弄ばれているのが分かるのに、うまく抵抗できない。
離そうとして指に力を入れても、社長の方が強くて、ぎゅっと握り返されるだけで、びくともしない。
指の隙間に入り込んでくるその感触が、どうしてこんなにも意識させるのか分からない。
ほかの人の手とは違う。長くて、整っていて、見た目は綺麗なのに、触れると関節がしっかりしていて、骨ばっていて、ちゃんと男の人の手だと分かる大きな手で、その温度がじわじわと伝わってきて、余計に心臓が落ち着かなくなる。
「……か、からかわないでください」
やっとの思いで絞り出した声は、自分でも情けないくらい震えていた。それなのに、黒崎社長はそんな私を見て、また楽しそうに軽く笑う。
「別に、からかってねーよ?」
そう言いながらも、繋がれた手は一向に離される気配がなくて、むしろさっきよりも少しだけ強く握られている気がして、否定の言葉とは裏腹なその行動に、ますます心が振り回されていくのを止められなかった。