カーテンコールはまだ鳴らない。
「……なあ」
ぽつりと、侑玖が言う。
「人ってさ」
唐突な前振り。
響華は眉を上げる。
「なに」
「一回やらかしたら、もう戻れないと思う?」
声は軽い。
質問も、抽象的。
「やらかしの内容によるでしょ」
即答だった。
「法律的にアウトでも、更生できる人はいるし」
「そーゆー真面目回答じゃなくてさ」
侑玖は苦笑する。
「なんつーか、自分の中の話」
響華はコーヒーを一口飲んだ。
少し苦い。
「……後悔してるなら。戻りたいって思ってるなら、
完全には終わってないんじゃない?」
自分でも、どこか刑事らしい答えだと思う。
侑玖は、じっと響華を見る。
まっすぐな目。
「……そっか」
それだけだった。