カーテンコールはまだ鳴らない。
少し重たい沈黙が流れる中、不意に蓮が⿊いマスクを外した。
――そういえば、響華と⼆⼈のときは、なぜかマスクを外していることのほうが多い。
その横顔をぼんやりと眺めながら、
(相変わらず、綺麗な顔……)
なんて、どうでもいいことを考えていると、蓮が⼝を開いた。
「……さっきの、チャラそうなやつって」
⼀瞬、⾔葉を選ぶように間を置いてから、
「彼⽒……とか、ですか?」
「……え」
その⾔葉に、響華は固まった。
――彼⽒?
侑玖が?
頭の中で思考が⼀気に渋滞する。
そして、はっと我に返った。
「っ違う違う。」
慌てて⾸を横に振り、
「⾼校のときの同級⽣だよ。
久しぶりに会ったから、夜飲み⾏こうかーって話してただけ!」
そう⾔って、⼿をぶんぶんと振る。
蓮はその説明を聞くと、なぜか深く息を吐いた。
「……そう、ですか」
さっきまでの鋭さが、ほんの少しだけ和らぐ。