カーテンコールはまだ鳴らない。
「誰に?」
背後から声がして、侑玖はびくりと肩を跳ねさせる。
振り返ると、そこには暗いスーツ姿の男が⽴っていた。
⻯崎組の若頭補佐。
穏やかな笑みを浮かべているが、その⽬は⼀切笑っていない。
「あ、いや……なんでもないっす」
慌てて笑って誤魔化すと、男は⼀歩、侑玖との距離を詰めた。
「最近、顔⾊が悪いな」
「そうですか? 気のせいじゃないっすかね〜」
軽い調⼦で返す。
いつも通り。
“⾼瀬侑玖”の仮⾯を被って。