カーテンコールはまだ鳴らない。

それを⾒た蓮も⽴ち上がり、淡々と「コンビニですか?」と尋ねる。

「うん、タバコ切らしちゃってて」と響華が返すと、

蓮は⽬にかかる前髪をかきあげて、

「俺も⾏きます。腹減りましたし」と答えた。

「じゃ、⼀緒に⾏こっか」

響華の⾔葉にこころなしか⽬を輝かせてコクっと頷いた蓮は、

デスクに置きっぱなしだった財布を⼿に取り、響華と並んで執務室を出た。

警視庁内の通路を歩く響華は、他の職員とすれ違うたびに視線を感じ、

少し居⼼地の悪さを覚えた。

その視線の原因は、⾔わずもがな蓮だろう。

本⼈は全く気づかない様⼦で、⾃分の隣を歩いている。

だが、その整いすぎた顔⽴ちに181センチの⾼⾝⻑という圧倒的な

スペックは、配属初⽇から警視庁内で噂になるのも当然だった。

今では⼥性職員の半数以上がファンになるほどの⼈気を誇っている。

……本⼈はいつも、すごく嫌そうな顔をしているが。
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