カーテンコールはまだ鳴らない。
空っぽの空き缶を指で回しながら、響華は何度目かのため息をついた。
「まあ、最初は憧れてたんだけどね。ちょっと違ったな。」
その声は、軽いものの、どこか少しだけ疲れたようにも聞こえる。
その時、蓮が静かに、けれど深い目で響華を見た。
彼の目に、何かがちらりと宿ったような気がして、
響華は気づかないふりをしようとしたが、目が合ってしまう。
「でも......俺は、なって良かったです。
響華さんに会えましたし。」
蓮の言葉は、どこか優しさが滲んでいた。
その一言で、響華の胸の奥に、わずかな温かさが広がった気がした。
「……よし、休憩終わり〜!
午後に向けてもうひと頑張りしよ!」
響華は軽く大きく伸びをして、手に持っていた空き缶を近くのゴミ箱に
ポイっと捨てた。
彼女の顔には、少しだけリフレッシュした様子が浮かんでいる。
普段は真面目に仕事に打ち込むことが多い響華だが、
こうした小さな息抜きができると、やはり心が少し軽くなる。