カーテンコールはまだ鳴らない。
「ってか、変な話ししちゃってごめんね。
休憩のつもりが、なんか暗くなっちゃった。」
軽く苦笑しながらそう言う響華。
彼女はゴミ箱から少し離れると、再び大きく背伸びをしながら、
気持ちを切り替えて仕事に戻る準備を整える。
立ち上がってジャケットを整え、足元を見ながら軽く一歩踏み出す。
それを見守る蓮は、静かにうなずきながら彼女に続いた。
「午後も無理しないようにしてくださいね」
蓮の声は相変わらず落ち着いていて、響華にとってはいつものように
心地よく響く。
響華は軽く頷くと、改めて一度深呼吸してから、オフィスに戻る道を
歩き出した。
蓮も無言でその後ろに続き、二人並んで廊下を歩く。
しばらく沈黙が続いた後、響華がちらっと蓮を見ながら口を開く。
「午後はちょっとでも進展があるといいな〜」
蓮は軽く微笑んだ。
「…ですね。」
そして、二人は再びオフィスの扉を開け、午後の仕事に向けて
気を引き締めて戻っていった。