カーテンコールはまだ鳴らない。
* * *
その頃、侑玖は事務所の地下で、冷たいコンクリートの
床に膝をついていた。
手に握られた拳銃の重たい感触が、彼の手にしっかりと伝わる。
目の前には、縛りあげられた中年の男が転がっていた。
男の顔は恐怖に歪み、ひたすらに命乞いの言葉を叫び続けている。
「おっ、お願いだ。頼む、命だけは!!
悪かった!悪かったから!!!死にたくないんだ!!勘弁してくれ!」
男の声は震え、必死に訴えるその様子が、侑玖の耳に響く。
しかし、侑玖はその声に耳を貸すことなく、拳銃を手にしたまま
荒い呼吸を繰り返していた。
息が上がり、胸が苦しくなる。
指先が微かに震えているのがわかる。
それを必死に抑えようとするが、感覚は鈍り、気持ちは冷静を装って
いるものの、心の中では激しい感情が渦巻いていた。
男の命乞いが、響き続ける。