カーテンコールはまだ鳴らない。
画面を開く。
――【高瀬】
通知欄に表示された名前に、ほんの一瞬だけ心臓が跳ねた。
アプリを開く。
『今から会えない?』
短い一文。
響華は数秒、画面を見つめたまま考える。
今日は寝不足だ。
明日だって、いつも通り仕事がある。
けれど。
指が、自然と動いた。
『いいけど、飲みはパス。今日は寝なきゃやばい。』
送信。
すぐに既読がつく。
『おけ。響華の仕事場の方迎え行く。いま近くいるし。』
その文面に、思わず小さく笑う。
「……フットワーク軽すぎでしょ」
『助かる。』
それだけ返して、電源ボタンを長押しする。
画面が暗くなり、黒い鏡のように自分の顔が映った。
無意識に、表情を引き締める。
スマホをポケットにしまうと、現実に引き戻された。