カーテンコールはまだ鳴らない。
近づいた瞬間、ふと気づく。
目の奥が、笑っていない。
「どうし――」
響華が問うより早く、
侑玖が、すっと距離を詰めた。
「あのさ」
いつもより低い声。
「仕事のことだから、詳しくは言えないんだけど」
そこで一瞬、言葉が止まる。
夜の空気が、やけに冷たい。
「……すっげえきついことがあって」
軽く笑おうとしているが、上手くいっていない。
「そんとき、響華の顔思い出してさ」
ほんのわずか、視線が揺れる。
「会いたくなった」
次の瞬間。
侑玖は、出会い頭の勢いのまま、
響華の肩に額を預けた。