カーテンコールはまだ鳴らない。
「……ちょ」
響華の体が、わずかに強張る。
スーツ越しに伝わる重み。
項垂れるように、力が抜けている。
冗談でも、からかいでもない。
本気で、縋るみたいに。
「ちょっとだけ。充電させて」
小さく、くぐもった声。
響華は何も聞かなかった。
問い詰めることも、茶化すこともせず。
ただ、静かに片手を上げる。
柔らかい金色の髪に、指が触れる。
ぽん、ぽん、と
子どもをあやすみたいに、ゆっくり撫でた。
「……お疲れ」
それだけ。
侑玖の肩が、ほんのわずかに震える。
「まじきつかったんだって」
「うん」
「自分でも、ちょっと引くくらい」
「うん」
深くは聞かない。
聞けない、のかもしれない。