極上パイロットの一途な執愛
 パイロットはつねに万全の体調管理が求められる。乗客乗員の命を預かるパイロットが、フライト中に熱でも出したら大変だからだ。

 運航管理者として、絶対に蒼真さんに風邪をひかせるわけにはいかない。

「じゃあ、カフェに行きましょう! お話なら、温かいお店でゆっくり……」

 慌てて言った私を、蒼真さんが見つめる。

「なんだかあせっているように見えるけど、俺を部屋に入れたくないわけでもあるの?」

 冷静に問いかけられ、額に冷や汗が浮かんだ。

「わ、わけなんて……」

 明らかに動揺する私を見て確信したのか、蒼真さんが「なにかわけがありそうだね」とさらに追及してくる。

「べ、別になにも」
「じゃあ、入っても問題ない?」
「それは無理ですっ!」

 慌てて首を横に振ると、蒼真さんの声が低くなった。

「……もしかして、中に誰かいたりする?」

 予想外の問いかけに、私は目を瞬かせる。

「だ、誰かって?」
「隣に住んでいる男とか」
「そんなわけ――」

 奥村さんが私の部屋にいるわけがない。私が否定しようとしたとき、部屋の中からバサバサッと物音が聞こえた。

< 111 / 163 >

この作品をシェア

pagetop