極上パイロットの一途な執愛
 思わず「あっ」と凍り付く。きっと、枕もとに積み重ねていた漫画の本が崩れたんだ。

「今、部屋の中から音がしたけど、なんの音?」
「それは、その……」

 蒼真さんの質問に、しどろもどろになる。その私の表情を見て、蒼真さんの視線がすっと冷たくなった。

「悪い。入るよ」

 短く断ると、蒼真さんは私の返事を待たずドアノブに手を伸ばし、強引にドアを開けた。

「え、ちょっと、待って下さ……っ!」

 蒼真さんは私の制止を無視して玄関に入る。靴を脱いで、部屋の中へ。そして室内を見た彼は、驚いたように動きを止めた。

 彼の視線の先には、シングルサイズのベッド。そしてその枕もとには、大量の漫画が散乱していた。

 私は立ち尽くす蒼真さんの後ろ姿を見つめながら、あぁ、終わった……と心の中でつぶやく。

『――未だに漫画の中の恋愛に憧れてるなんて、正直引くわ』

 高校時代、付き合っていた彼氏から言われた言葉が耳によみがえった。

 きっと蒼真さんも、彼と同じような冷たい反応をするだろう。いや、それ以上の辛辣な言葉を言われるかもしれない。

 私はぎゅっと手のひらを握りしめる。
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