極上パイロットの一途な執愛
 混乱しながらも「幻滅なんてしませんけど……」と首を横に振る。

「どうして?」
「蒼真さんは努力して完璧な自分を作り上げていたんですよね? それは純粋にすごいことだと思います」

 蒼真さんは『完璧な男を演じてまわりの人を騙していた』と言ったけど、それは簡単にできることじゃない。

 周囲の人に気付かれず何年間もみんなの理想の人であり続けるなんて、想像もできないくらい大変だったはずだ。

「嘘をつかれて騙されたって、怒らないんだ」
「だって、蒼真さんは素を隠していただけで、誰かを傷つけたわけじゃないし……」

 私の言葉を聞いて、蒼真さんは「ははっ」と短く笑った。

「愛里はいつも予想外の反応をするよな」
「え、そうですか……?」

 ごく普通のことを言っていると思うんだけど……。

「純粋でかわいくて、俺の手で汚してみたくなる」

 その言葉に目を瞬かせると、蒼真さんの長い指が私のあごをすくい上げた。
 戸惑いながら視線を上げた私を、蒼真さんが見つめる。

 綺麗な顔に浮かんでいたのは、いつもの優雅な微笑みではなく、ぞくっとするほどの男の色気。

「そ、蒼真さん……?」

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