極上パイロットの一途な執愛



 家具や家電の処分やアパートの解約などはあと回しにして、とりあえずすぐに必要な最低限のものだけをまとめる。

 着替えや靴、メイク用品は仕事に必要だから……と荷物を選んでいると、蒼真さんに「本は持っていかないのか?」と聞かれた。

 もちろん持っていきたいけど、ぐっと我慢して首を横に振る。

「すぐに必要ってわけではないし、重いので……」
「でも、愛里にとって大事なものだろ」

 蒼真さんは当然のように「車だし、俺が運ぶから持っていくぞ」と言ってくれた。
 その優しさに、不覚にもきゅんとする。

 ときめいてから、いや、騙されるなと我に返った。

 横暴すぎる蒼真さんのせいで、ほぼ強制的にマンションに連れ戻されるんだから、ちょっと優しくされたくらいで絆されちゃだめだ。

 そんなことを考えながら、約一カ月半ぶりに帰ってきたマンション。


 またここに戻ることになるなんて思っていなかったから、なんだか不思議な気持ちになる。

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