極上パイロットの一途な執愛
 パイロットの蒼真さんは、会社が手配するタクシーで通勤している。そのタクシーに一緒に乗って職場に行くなんて、私たちは同居してますと宣言しているようなものだ。

「残念。やっぱり断られたか」

 くすくす笑う蒼真さんを見て、思わず顔をしかめる。

「蒼真さん、私を動揺させておもしろがってません?」
「おもしろがってるんじゃなく、愛里がかわいくてたまらないんだよ」

 心にもないことをさらっと言ってのける彼は、本当に意地悪だと思う。

「とりあえず、私は行きますね」

 気を取り直しバッグを持つ。

 玄関で靴を履いていると、蒼真さんが「忘れ物」とやってきた。

「え、なにか忘れてましたか?」

 顔を上げると、短いキスが降ってくる。柔らかい唇の感触に、一気に頭に血がのぼった。

「な……っ」
「いってらっしゃいのキス」

 にっこりと笑いかけられ、頬を熱くしながら顔をしかめる。

「ふ、不意打ちはやめてくださいっ」
「あぁ、もっとじっくりキスがしたかった?」
「そうじゃなく……っ、んん!」

< 143 / 163 >

この作品をシェア

pagetop