極上パイロットの一途な執愛
 あちこちから上がる声に、穏やかな笑みを返しながら歩いてくるのは、私服姿の蒼真さんだった。

 パイロットがコントロールセンターにやってくることはほとんどないのに、どうしてここに……。

 このフロアの責任者であるセンター長も不思議に思ったのか、「朝比奈くんがこっちに来るなんてめずらしいね」と蒼真さんに声をかける。

「今日は比較的落ち着いていると聞いたので、ご挨拶に来ました。お世話になっているみなさんに、感謝を伝えたくて」

 蒼真さんが穏やかな口調でそう言うと、女性陣の頬が赤く染まった。

「差し入れを買ってきたので、もしよかったら」

 彼の手にあるのは、フランスの高級チョコレートブランドのロゴが刻印された紙袋。

「え、うれしい……!」
「チョコレートのイベントのたびに大行列になって、日本じゃなかなか買えないやつじゃん」
「さすが朝比奈機長、差し入れ選びのセンスがよすぎる!」

 そんなよろこびの声に、蒼真さんは「飛行機が安全に飛べるのは、みなさんのお陰です。いつもありがとうございます」とふわりと笑う。

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