極上パイロットの一途な執愛
 その優雅さに、女性だけではなく男性たちまで魅了されてしまったようで、あちこちからうっとりとしたため息が聞こえてきた。

 さすが、みんなが憧れる王子様。蒼真さんがいるだけで、フロア内の空気が浄化されていく気がする。
 私が感心していると、彼がこちらを振り返った。

 視線が合い、びくりと肩が跳ねる。

 蒼真さんとは離婚届を置いて家を出てから一度も連絡を取っていなかったから、なんだか気まずい。

 さりげなく身を屈めモニターの影に隠れようとしたけれど、蒼真さんはこちらに向かって歩きだした。

 え、どうしてこっちに来るの……?

 あせる私と、まっすぐにこちらを見つめて歩いてくる蒼真さん。
 その様子に、周囲の人たちの不思議そうな視線が集まる。

 目の前までやってきた蒼真さんは、足を止め私を見下ろした。そして、綺麗な目もとを緩め、にっこりと笑う。

「愛里、お疲れ様」

 私たちが結婚していたことは周囲に内緒にし、会社では他人のふりをしてきた。
 だから今まで蒼真さんが職場で私に話しかけることなんてなかったのに、いったいどういうつもりだろう……。

「お、お疲れ様です」

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