極上パイロットの一途な執愛
 私に愛想がないのはたしかに事実だ。だけど今の状況は、媚びるような笑顔を作るべきではないはずだ。

「欠航のせいでどれだけの客に迷惑がかかると思ってんだよ! これくらいなんとかなるだろうが!」

 私は震える指先を隠すように、きつく手を握りしめた。

「私たちにはお客様の命をお預かりする責任があります」

 できるだけ落ち着いた声で、はっきりと気持ちを伝える。

「これくらいなんとかなる、という軽い気持ちで、飛行機を飛ばすわけにはいかないんです」

 背筋を伸ばしまっすぐに見つめると、男性の顔がさらに赤くなる。

「お前、客に向かって口ごたえをするのか!?」
「そういうわけでは……」
「どうせ飛行機の事故なんてめったに起きないんだから、つべこべ言わずに黙って飛ばせって言ってるんだよ!」

 男性がカウンターを激しく叩いたそのときだった。

 背の高い男性が現れ、庇うように私の前に立つ。そして、低く落ち着いた声が響いた。

「航空事故がめったに起きないのは、当然のことではありません」

 驚いて顔を上げると、そこにいたのはパイロットの制服を着た朝比奈副機長だった。
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