極上パイロットの一途な執愛
 さらりとそんな言葉を口にする彼を見て、さすが王子様……!と心の中でため息をもらす。

「朝比奈くんはとても優秀でね。機長になるのも時間の問題だとみんな言っているんだよ」

 誇らしげに胸を張る父に、母は「すごいわねぇ」と感心しながら運んできた紅茶をテーブルに置いた。

「ありがとうございます」

 朝比奈副機長から上品な微笑みを向けられた母は、「本当にイケメンさんね!」とうれそうに笑顔を浮かべる。

 母娘で顔立ちも似ているのに、明るく社交的な母と口下手で内向的な私。性格は真逆だった。

 ……それにしても、どうして彼が我が家に来たんだろう。

 不思議に思っていると、私の疑問を察したのか朝比奈副機長が口を開いた。

「休日にお邪魔してごめんね。尊敬する香坂専務とゆっくり話をしたくて」
「尊敬、ですか?」
「十年くらい前に香坂専務が操縦する機体で、前輪が出なくなるトラブルがあったのは知ってる?」

 そう問いかけられ、「はい」とうなずく。
 私は当時中学生。トラブルが起きた日、ちょうど私は自宅にいた。

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