極上パイロットの一途な執愛
「おや、朝比奈くん。来ていたんだね」
「お邪魔してます」
「いつも愛里の勉強を見てくれて、うれしいわ」

 リビングに入ってきた両親と蒼真さんが和やかに会話をする。その横で私は気持ちを落ち着かせるように、こっそりと息を吐き出した。

 そんな私の表情に気付いた父が、視線を鋭くする。

「朝比奈くん。愛里を気にかけてくれるのは感謝しているが、わかっているだろうね」
「もちろん。尊敬する香坂専務を裏切るようなことはしませんので、安心してください」

 蒼真さんはいつものようにそう言って微笑む。


 ――鈍感な私がそんなふたりのやりとりの意味を理解したのは、数年後のことだった。


 

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