社長、その溺愛は計算外です

それは、KIRIHARA TECHの主要取引先二社からの、契約解除通知書だった。

「これは……」

「お前が新谷梓と別れないなら、お前の会社など、一週間で潰せる。桐原グループの影響力を舐めるな」

俺は、拳を強く握りしめた。

KIRIHARA TECHの社員たちの顔が、脳裏を過ぎる。

「二十四時間、考える時間をやる」

父親が、言った。

「新谷梓と別れるか、会社を失うか──選べ」

親子の情など、この部屋には最初から一欠片も存在しなかった。あるのは、巨大な資本という暴力だけだ。



その日の午前中。KIRIHARA TECHのオフィスに戻った俺は、役員たちに状況を報告した。

「桐原グループとの関係で、圧力がかかっている。俺の個人的な問題が原因だ」

山本副社長が、険しい顔で俺を見た。

「社長……どうすれば、この事態を解決できるんですか」

「時間をくれ。必ず、解決策を見つける」

俺は、深く頭を下げた。

窓から東京の街を見下ろしながら、俺は考える。
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