社長、その溺愛は計算外です
午後三時。
オフィスに戻った私は、デスクに向かっていた。
達成感と疲労が混ざり合った、不思議な感覚の中にいた。
けれど、圭佑さんのことを考えると、重いものが戻ってくる。
先週の金曜から、もう六日が経つ。
逃げているのは、どちらだろう。
傷つくことを恐れて、本音から目を背けているのは──もしかしたら、私の方かもしれない。
プレゼンで気づいたことが、頭をよぎった。
答えは、最初から目の前にあった。自分の不安より、目の前の人の声を聞くこと。
それは、圭佑さんとの間にも言えることだと、分かっているのに。
その時、受付から内線が入った。
『新谷さん、お客様がいらっしゃっています。桐原圭佑様、とのことで……アポイントはないのですが、ロビーでお待ちです』
私は手を止めた。
圭佑さんが?
「……今から行きます」
エレベーターで一階に降りると、ロビーが見えた。
そこに、圭佑さんが立っていた。
彼はいつも通り、完璧なスーツ姿だった。けれど、その瞳の奥には、今までに見たことがないような鋭く、そして切実な光が宿っていて──私は思わず、息を呑んだ。