社長、その溺愛は計算外です
翌日。金曜日の昼。
『新谷さん、面会の方がいらっしゃっています』
「どちら様ですか?」
『水沢麗華様、とのことです』
私は食事を途中で切り上げて、一階のロビーに向かった。
麗華さんは、ガラス張りのエントランスの前に立っていた。今日は、ネイビーのワンピースに白いコートを羽織っている。
先週の鋭さが、今日の麗華さんにはなかった。
昨日、圭佑さんは父親に婚約破棄を申し出たはずだ。その事実が、麗華さんの耳にも入ったのかもしれない。
だから今日、ここに来た──そんな気がした。
「新谷さん、お忙しいところ申し訳ございません」
「いえ……」
「お時間をいただけますか。近くで少し、と思ったのですが」
私は頷いた。
そして私たちは、会社の隣の小さな公園に向かった。