社長、その溺愛は計算外です
「跡継ぎの話は、まだ終わりではない。朔が育つまでの間、お前が何らかの形でグループに関わることになるかもしれない。それは、これから話し合いながら決める」
「……はい」
「そして……」
父親が、初めて少し表情を緩めた。
「新谷梓さんを、大切にしろ。お前の母親が、私にとってそうであるように」
胸の奥が、じわりと熱くなった。
「……ありがとうございます、父さん」
「行け。お前の大切な人のもとに」
俺は執務室を出ようとした。
「圭佑」
「はい」
「……今度、新谷梓さんを連れてこい」
その一言に、俺は深く頭を下げた。
「はい。必ず」
◇
執務室を出た後、俺はすぐに麗華に連絡を取った。
午後四時。ホテルのラウンジで、俺は麗華を待った。
やがて、淡いベージュのワンピースに白いカーディガンを羽織った麗華が現れた。何かを決めてきた人の落ち着きが、その佇まいにあった。
「お話があります」
「私にも、あります」
麗華が、先に口を開いた。