社長、その溺愛は計算外です
「先日、新谷さんにお会いしました。二度」
俺は黙って耳を傾ける。
「最初に会いに行った時は……脅しに近いことを言いました。彼女を、あなたから遠ざけようとした」
「……」
「二度目は、違いました。彼女は、私に怒らなかった。私が一人で抱えてきたものを、分かろうとしてくれた」
梓らしい、と思った。
「圭佑さん。この一週間、ずっと考えていました」
麗華が続ける。
「あなたへの気持ちが、愛なのか義務なのか。長い間、その問いを避けてきたけれど、やっと正直に向き合えた気がします」
「麗華さん……」
「やはり、義務だったんだと思います。あなたのことは、愛していなかった」
彼女が、はっきりと言った。
「父には、今日伝えるつもりです。婚約を、破談にしてほしいと」
「……本当に、いいんですか?」