社長、その溺愛は計算外です
私たちは、近くのレストランで夕食を摂った。
平日の夜、仕事帰りのささやかなデート。こんな何気ない時間が、何よりも大切だった。
「梓」
デザートを待ちながら、圭佑さんが真剣な顔で切り出した。
「実は君に、会ってもらいたい人がいる」
「……会ってもらいたい人?」
「俺の両親だ」
彼の手が、私の手を握った。
「正式に紹介したい」
「私なんかが、ご挨拶に伺っても……」
「君以外、考えられない」
圭佑さんが、言いきった。
「俺は、君と結婚したい。だから、ちゃんと両親に紹介したいんだ」
『結婚』──その言葉が、こんなにも重く、そして温かく響くなんて。
「はい」
私は頷いた。
「ぜひ、お会いしたいです」
圭佑さんの表情が、安堵したように和らいだ。