社長、その溺愛は計算外です
「……梓のことだよ」
「え?」
「あのパーティーに、君が参加すると取引先の人間から聞いた。招待制だったから、業界内でも少し話題になっていてな」
そこで初めて、点と点が繋がった。
だからこの人は、あの日あの場所にいたんだ。
「それで、行こうと思った。君に会うために……情報じゃなく、俺の直感で」
「……言ってくれれば良かったじゃないですか」
「言えるわけないだろう」
圭佑さんが、苦笑する。
「取引先の担当者に、いきなりそんなことを言ったら……」
「確かに」
私も笑った。
「……ということは」
少し間を置いて、私は言った。
「最初から、私目当てだったんですか?」
「……そうなる」
その一言で、私は数秒、言葉を失った。
「なんですか、それ」
「何が」
「だって、ずるいじゃないですか」
「どこが?」
「私は、必死に婚活していたのに」
圭佑さんが、小さく笑った。
「確かに。自己紹介の途中で、君の目が泳いでいたね」
「見てたんですか!?」
「全部、見てた」
「……もう」
私は笑いながら、圭佑さんの腕にもたれた。
「……あの時、まさか『君は俺のものだ』なんて言うとは思っていなかったけど」
「え?」