社長、その溺愛は計算外です
婚活パーティーで「理想の女性」を演じていたあの夜から、どれほど遠いところまで来たんだろう。
あの頃の私に、教えてあげたい。仮面なんていらなかった、と。
私たちは、深くキスを交わした。周りの歓声など、もう聞こえなかった。
キスを終えて、私たちは額を寄せ合う。
「愛してる」
圭佑さんが、囁く。
「私も、愛しています」
夜空を見上げると、雪が美しく舞っていた。
「今日は、君を家まで送っていくよ」
圭佑さんが、私の頬にキスをする。
「今日の続きは……結婚式の夜まで、楽しみにしているから」
その言葉に、頬が一気に熱くなった。
「もう、圭佑さん……」
「本気だよ」
彼が、悪戯っぽく笑う。
私たちは、手を繋いでタクシーに乗り込んだ。
◇
それから、半年ほどが過ぎた。
お互いの両親から結婚の許可を得た私たちは、大切な人たちだけを招いて、都内の小さなチャペルで式を挙げることにした。
準備期間の半年間は、驚くほどあっという間だった。
ドレス選び、会場選び、招待状の作成──全てを、圭佑さんと一緒に決めた。
ドレスを選んだ時、彼は「君が着れば、どんなものだって最高に見えるよ」と、困ったような、蕩けるような笑顔で言ってくれた。
迷った末に選んだのは、過度な装飾を削ぎ落とした、凛としたAラインのドレス。
ありのままの私に、一番ふさわしい気がした。