社長、その溺愛は計算外です

牧師さんの前で、私たちは永遠の愛を誓った。

「病めるときも、健やかなるときも。新谷梓だけを、生涯愛し続けることを誓います」

確信に満ちた彼の声が、チャペルに響く。

私の声も重なった。

「私も、桐原圭佑さんだけを、生涯愛し続けることを誓います」

指輪の交換。圭佑さんが、私の指に結婚指輪をはめてくれた。

「これで、君は正真正銘、俺の妻だ」

「はい」

私は微笑んだ。

「それでは、誓いのキスを」

牧師さんの言葉に、圭佑さんが私のヴェールをそっと上げた。

そして、私たちは深く口づけを交わした。

沸き起こる拍手の中で、私はただ、彼の確かな体温だけを感じていた。



挙式後。披露宴では、春菜のスピーチが始まった。

「梓は、ずっと居場所を探していました」

彼女の声が、会場に響く。

「仕事では完璧なプロジェクトマネージャーを演じ、婚活では理想の女性を装って。どこにも、本当の自分を出せないでいた」

会場が、しんと静まり返った。

「でも、桐原さんと出会って……梓は変わりました。もう演技は必要なくなった。だって、桐原さんも同じだったから」

春菜が続ける。

「完璧な社長の仮面の下に、誰かのそばで静かに息をしたかった一人の人間がいた。お互いに心の鎧を被っていた二人が、出会って、ぶつかって、愛し合って」

彼女の目に、涙が光る。

「これって、運命以外の何物でもないですよね」

会場から、温かな拍手が起こった。

私は隣の圭佑さんを見た。

彼もまた私を見ながら、ゆっくりと頷いていた。
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