社長、その溺愛は計算外です
翌朝。窓から差し込む朝の光で、私は目を覚ました。
最初に気づいたのは、いつもと違う天井だった。
次に、シーツ越しに伝わる体温。
昨夜の記憶が一緒に戻ってきて、一気に頬が熱くなる。
圭佑さんは、穏やかな寝顔で眠っていた。
普段の端正な表情が、すっかり解け切っている。髪が少し乱れ、無防備な睫毛の影が頬に落ちていた。
こんな顔、私しか知らない。
吸い寄せられるように、その髪に触れた。指先から伝わるぬくもり。
これから毎朝、この人と一緒に目覚められるんだ。
もう、演じる必要のない日々。ありのままの私を愛してくれる人が、一番近くにいる。
「……ん」
圭佑さんの睫毛が、震えた。
「おはよう、梓」
「おはようございます、圭佑さん」
彼は私の首筋に顔を埋め、息を吐き出した。
「昨夜は……大丈夫だったか?」
耳元で囁かれる、どこまでも優しい気遣い。昨夜のあの人と、同じ人とは思えない声音だった。
「はい……すごく、幸せでした」
私の答えに、彼が満足そうに目を細める。
「良かった」
しばらく、そのまま二人でいた。
カーテンの隙間から、初夏の朝の光が細く差し込んでいる。外では、鳥の声がした。
「これから毎朝、こうして俺の腕の中で目覚めてほしい。……いいか?」
「……もちろんです」
圭佑さんが、私の額にキスを落とした。
言葉より先に、温もりが伝わってくる。
その熱があれば、この先のどんな未来も、きっと大丈夫。そう、心から信じられた。