社長、その溺愛は計算外です

「はい」

私は画面共有を開始した。

『なるほど。これは、タイムアウトですね』

桐原さんが即座に分析する。

「はい。設定値を変更してみたのですが、まだ完全には……」

『ちょっと待ってください。この部分、認証トークンの更新タイミングとも連動していませんか? 二つのシステムが、鍵の受け渡しをするタイミング自体がずれているかもしれない』

「あ……!」

彼の指摘で、気づいた。タイムアウトだけの問題ではなく、もう一段深いところに原因があった。

手元の資料を素早く確認しながら、頭の中で構造を組み直す。

「……待ってください。だとすると、ログイン直後のセッション──つまり、二人が会話を始める瞬間のことですが──そこの開始タイミングも怪しくないですか」

私は続ける。

「そこで既にズレが生じていたとしたら、決済に至る前の段階で、認証が無効化されている可能性があります」

『……そこまで辿り着きましたか』

画面の向こうで、桐原さんが目を細めた。

『正解です。ログインからカートまでの間で、セッションが静かに死んでいた。だから、決済画面で突然弾かれる』

「なら、修正すべきは二箇所ですね。タイムアウト値と、セッション維持の処理を同期させる部分」

『その通りです。新谷さん、君は本当に──』
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