社長、その溺愛は計算外です

今まで婚活で会ってきた男性たちは、私が少し踏み込んだ意見を言うと、決まって引いた。

「すごいですね」と笑って話題を変えるか、あるいは露骨に不機嫌になるか。どちらにしても、そこで何かが終わった。

でも、桐原さんは最後まで、私の目を見ていた。

押し返してきた。そして最後に「あなたの見方は正しい」と言った。折れたのではなく、認めてくれたのだ。

それが、こんなにも──すとんと、腑に落ちた。

「実は……」

少し間があってから、私は口を開いた。

言い合いになりかけたからだろうか。この人ならと思ったからだろうか。

さっき、ぶつかることを怖がらずに済んだ。その安堵が、まだ胸に残っていた。

計算が追いつかないまま、言葉が出てきた。

「学生時代、付き合っていた人に『真面目すぎる』って言われたことがあるんです。就職活動に一生懸命になっていたら、『一緒にいると息が詰まる』って。もっと素直で可愛い子がいい、って」

桐原さんが、じっと私を見つめる。
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