社長、その溺愛は計算外です
「その服、よく似合っています。いつものスーツの時より、ずっと……」
圭佑さんはそこまで言って、何かを飲み込むように視線を逸らした。耳の端が、ほんのりと赤い。
「……そうですか」
それ以上、気の利いた返事なんてできなかった。
熱を帯びた彼の視線の残像が、肌に直接触れられたかのように熱くて、私は視線を泳がせる。
会議室で見る完璧なスーツ姿も素敵だけれど、今の圭佑さんは、もっと生々しく「一人の男性」だった。
深夜の画面越しよりも、もっと近くて、もっとリアルな。
「どうぞ」
圭佑さんが、テーブルの上に温かいほうじ茶を二つ置いた。
「ありがとうございます」
両手で湯呑みを包む。熱が、じわりと指先に沁みてくる。
その時、隣の部屋からバタバタという足音が聞こえてきた。