社長、その溺愛は計算外です

「ゴールド、待て」

圭佑さんの声がしたと思った瞬間、ドアが開いて大きなゴールデンレトリバーが飛び込んできた。

「わあ……!」

私は思わず、声をあげる。

まさか、圭佑さんが犬を飼っていたなんて。

ゴールドは、私の数歩手前でぴたりと止まった。

低い姿勢で、くんくんと鼻を鳴らしながら、値踏みするように私を見上げている。

もしかして、警戒されてる?

私が思わず身を固くした、その時だった。

「すみません。こいつ人見知りで、なかなか懐かないんですが」

圭佑さんが苦笑いして手を伸ばそうとした、その手より早く。

ゴールドがぱたぱたと、大きくしっぽを振り始めた。

そのまま私の膝に鼻先を押し当て、喉の奥で甘えるような声を出す。

「……あれ、珍しい。自分から行くなんて」

圭佑さんが、目を丸くする。

私はゴールドの頭を撫でた。柔らかくて、丸い。

「……驚きました。こいつ、僕以外の人間には、絶対に自分から触れようとしないので」

「そうなんですか? 嬉しいです」

ゴールドが私の膝に頭を乗せてきた。その重さが、たまらなく愛おしい。
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