社長、その溺愛は計算外です
「梓さんが、作ってくれるということですか?」
「はい」
「それは……嬉しいです。ぜひ」
声が、さっきより柔らかくなっていた。
ゴールドが、小さく鼻を鳴らした。
私たちは、また少し笑った。
◇
雨が上がった頃、圭佑さんが私を駅まで送ってくれた。
夕暮れの空は、雨上がりの澄んだ空気に包まれていた。
「今日は、本当にありがとうございました」
「こちらこそ。ゴールドも、君のことを気に入ったみたいです」
「また、会いに来てもいいですか?」
「もちろんです。いつでも、待っています」
しばらく二人で、並んで歩いていた時のことだった。
「梓さん」
「はい?」
「来週の土曜日、IT業界の交流パーティーがあります」
圭佑さんが、前を向いたまま言った。
「毎年、業界の主要人物が集まる会で……良ければ、パートナーとして同席してもらえませんか」
思いがけない言葉に、私は目を見開く。
「パートナーとして、ですか?」