社長、その溺愛は計算外です

「梓さんが、作ってくれるということですか?」

「はい」

「それは……嬉しいです。ぜひ」

声が、さっきより柔らかくなっていた。

ゴールドが、小さく鼻を鳴らした。

私たちは、また少し笑った。



雨が上がった頃、圭佑さんが私を駅まで送ってくれた。

夕暮れの空は、雨上がりの澄んだ空気に包まれていた。

「今日は、本当にありがとうございました」

「こちらこそ。ゴールドも、君のことを気に入ったみたいです」

「また、会いに来てもいいですか?」

「もちろんです。いつでも、待っています」

しばらく二人で、並んで歩いていた時のことだった。

「梓さん」

「はい?」

「来週の土曜日、IT業界の交流パーティーがあります」

圭佑さんが、前を向いたまま言った。

「毎年、業界の主要人物が集まる会で……良ければ、パートナーとして同席してもらえませんか」

思いがけない言葉に、私は目を見開く。

「パートナーとして、ですか?」
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