社長、その溺愛は計算外です
翌日、火曜日。
圭佑さんから、いつものようにメッセージが届く。
【おはようございます。
今日も一日、頑張ってください。
圭佑】
画面を見た瞬間、胸が痛んだ。
昨日まで、この一文がどれほど朝を明るくしてくれていたか。
今は、その温もりの分だけ、息が詰まった。
既読にしたまま、私はスマホを裏返した。
返信の言葉が、何一つ出てこなかった。
◇
水曜日。圭佑さんからの着信があるたび、私の心は削られていった。
昼休み、画面に彼の名前が浮かんだ瞬間、指が氷のように固まった。
五回、六回と呼び出し音が空しく響いて、切れる。
暗転したスマホの画面に、自分のひどい顔が映り込む。
あんなに欲しかった彼の声が、今は自分を壊す凶器のように思えて怖かった。
陽が傾き始めた夕方、デスクの上で再びスマホが震え出した。
隣の席の岡下さんが、「出なくていいの?」と心配そうに覗き込んでくる。
「……後で、かけ直します」
そう答えながらも、かけ直す気が自分にあるかどうか、分からなかった。