社長、その溺愛は計算外です

翌日、火曜日。

圭佑さんから、いつものようにメッセージが届く。

【おはようございます。
今日も一日、頑張ってください。
圭佑】

画面を見た瞬間、胸が痛んだ。

昨日まで、この一文がどれほど朝を明るくしてくれていたか。

今は、その温もりの分だけ、息が詰まった。

既読にしたまま、私はスマホを裏返した。

返信の言葉が、何一つ出てこなかった。



水曜日。圭佑さんからの着信があるたび、私の心は削られていった。

昼休み、画面に彼の名前が浮かんだ瞬間、指が氷のように固まった。

五回、六回と呼び出し音が空しく響いて、切れる。

暗転したスマホの画面に、自分のひどい顔が映り込む。

あんなに欲しかった彼の声が、今は自分を壊す凶器のように思えて怖かった。

陽が傾き始めた夕方、デスクの上で再びスマホが震え出した。

隣の席の岡下さんが、「出なくていいの?」と心配そうに覗き込んでくる。

「……後で、かけ直します」

そう答えながらも、かけ直す気が自分にあるかどうか、分からなかった。
< 88 / 171 >

この作品をシェア

pagetop