社長、その溺愛は計算外です
木曜日の夜。圭佑さんからメッセージが届いた。
【梓さん
電話に出てくれませんか。
心配しています。
お話したいことがあるんです。
圭佑】
そのメッセージを、私は何度も読み返した。
心配しています、という言葉が引っかかった。
心配する資格が、あなたにあるのだろうか。
そう思いながらも、このメッセージを何度も読み返している自分がいる。
嫌いになれれば、楽なのに。
そう思ったら、胸の奥で何かが軋んだ。泣きたいのか怒りたいのか、自分でも分からなかった。
私は、スマホを枕の横に置いて、目を閉じた。
眠れないまま、夜が更けていった。
◇
金曜日の朝。
圭佑さんから、またメッセージが届いていた。
【梓さん
今日の夜、お時間はありますか。
どうしても話したいことがあるんです。
18時、Bar Crescent Moonで待っています。
圭佑】
その文面には、いつもの穏やかさとは違う、切迫したものがあった。
Bar Crescent Moon──初めて二人きりで夜を過ごした、あの三日月のバー。
彼がその場所を選んだことの意味を、考えないようにした。
私は迷いながらも、返信した。
【分かりました。
18時に伺います。
梓】
送信ボタンを押した指先が、小さく震えていた。
逃げるのは、もう終わりだ。たとえその場所で、彼の手によってとどめを刺されることになったとしても。
ちゃんと話を聞こう。そして、私の気持ちも伝えよう。