社長、その溺愛は計算外です

木曜日の夜。圭佑さんからメッセージが届いた。

【梓さん

電話に出てくれませんか。
心配しています。
お話したいことがあるんです。

圭佑】

そのメッセージを、私は何度も読み返した。

心配しています、という言葉が引っかかった。

心配する資格が、あなたにあるのだろうか。

そう思いながらも、このメッセージを何度も読み返している自分がいる。

嫌いになれれば、楽なのに。

そう思ったら、胸の奥で何かが軋んだ。泣きたいのか怒りたいのか、自分でも分からなかった。

私は、スマホを枕の横に置いて、目を閉じた。

眠れないまま、夜が更けていった。



金曜日の朝。

圭佑さんから、またメッセージが届いていた。

【梓さん

今日の夜、お時間はありますか。
どうしても話したいことがあるんです。
18時、Bar Crescent Moonで待っています。

圭佑】

その文面には、いつもの穏やかさとは違う、切迫したものがあった。

Bar Crescent Moon──初めて二人きりで夜を過ごした、あの三日月のバー。

彼がその場所を選んだことの意味を、考えないようにした。

私は迷いながらも、返信した。

【分かりました。
18時に伺います。

梓】

送信ボタンを押した指先が、小さく震えていた。

逃げるのは、もう終わりだ。たとえその場所で、彼の手によってとどめを刺されることになったとしても。

ちゃんと話を聞こう。そして、私の気持ちも伝えよう。
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