没落令嬢ですが聖女になった途端、婚約破棄した皇太子に溺愛されています
その一言で、すべてを悟る。

「……何が、あったのですか」

震えそうになる声を、必死に押さえ込む。

父は一度目を閉じ、そして静かに言った。

「……敗れた」

短い言葉だった。

けれど、それが何を意味するのか、分からないほど私は幼くはない。

「政の場で、負けたのだ」

父は苦く笑う。

「王宮内の権力争いに巻き込まれ……そして、敗北した」

空気が、凍りつく。

「それで……」

言葉の続きを、聞くのが怖い。

けれど、父は容赦なく現実を突きつけた。

「我がヴァルディア家は……すべての地位と権限を失う」

「……え……」

一瞬、理解が追いつかなかった。

地位を、失う――?

「公爵位は剥奪される。領地も没収だ」

静かな声だった。

あまりにも静かで、逆に現実味がなかった。

「そんな……急に……」
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