没落令嬢ですが聖女になった途端、婚約破棄した皇太子に溺愛されています

第3章 再会と旅

聖女として任命されてから、数日が過ぎた。

私は宮殿の一室で、静かに窓の外を見ていた。

高い壁の向こうに広がる王都は、どこか遠くに感じる。

(もう……戻れない)

町で過ごしていた日々。人を癒し、ささやかに生きていた時間。

それらはすべて、過去になってしまった。

「――入れ」

低く響く声に、私は振り返る。

侍従に導かれ、大広間へと足を運ぶ。

そこには、玉座に座る国王陛下と、重臣たちの姿があった。

私はゆっくりと進み出て、頭を下げる。

「セレスティア・フォン・ヴァルディア、参りました」

「顔を上げよ」

言われるままに視線を上げると、国王のまっすぐな眼差しが向けられていた。

「聖女としての務めを、理解しているな」

「……はい」

短く答える。その言葉の重さを、私はまだ完全には理解できていない。
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