没落令嬢ですが聖女になった途端、婚約破棄した皇太子に溺愛されています
「――なお、今回の任務には護衛をつける」

国王陛下の言葉に、私は顔を上げた。

「穢土の発生地には、魔物が出る可能性が高い。聖女を一人で向かわせるわけにはいかぬ」

(魔物……)

あの井戸で感じた穢れ。

あれが広がっているのだとしたら――確かに、危険は避けられない。

「守護騎士は、誰になるのでしょうか」

恐る恐る問いかけると、重臣の一人が口を開いた。

「聖女の守護騎士は、皇太子と定められております」

「……え……?」

一瞬、言葉が理解できなかった。

(皇太子……?)

それはつまり――

「――皇太子アルセイド・クロヴィス」

名が呼ばれた瞬間、心臓が大きく跳ねた。

思わず視線を巡らせる。

そして、大広間の奥から一歩進み出たその姿を見た瞬間――息が止まった。
< 34 / 66 >

この作品をシェア

pagetop